arl Note

進捗報告と備忘録

AliExpressで3Dプリンタを買った話 -②修理編-

前回の記事で3Dプリンタを購入したことを書きましたが,
購入から数日後,スクリーンが映らなくなるトラブルが発生しました. 一度は直りましたが,また数日で同じ現象が発生したため交換を依頼することにしました.

セラーに連絡

日本の販売代理店 であれば人為的故障の場合を除いて1年間無償修理を行うことが明記されているのですが, AliExpressの「Flashforge Global Store (FFGS)」のページにはそれらしき説明が書いておらず,交換・修理に応じてくれるのか不明でした.
とりあえずダメもとでセラーにメッセージを送ってみることにしました.
以下がメッセージでのやり取りを要約したものです.

「そちらのお店でAdventurer3を購入し,数日でスクリーンが映らなくなってしまいました.スクリーン以外(冷却ファンやLED)は正常に動作しています.正常な製品と交換してもらうことはできますか?」

FFGS「わかりました.新しいスクリーンを送ろうと思います.あなたのメールアドレスと,プリンタの裏に書かれているシリアルナンバーを教えていただけますか?」

この時点でセラー側が「新しいスクリーンを送る」と言っているのですが,「新しいスクリーン(を取り付けた)製品を送る」=「新品のプリンタと交換する」という意味だろうと思ってスルーしていました.

要求通りシリアルナンバーとメールアドレスを伝えると,Flashfogeのエンジニアらしき方から

「新しいスクリーンを送る前に,ファームウェアのアップデートを試してみてください.」

という趣旨の文章と,アップデート方法の解説動画のリンクが添付されたメールが届きました.

動画に従ってアップデートを行いましたが,やはり改善されなかったため返信すると

「おそらくマザーボードに原因があるから,マザーボードとスクリーンを送るよ!」

との返信が来ました.

数日後,Flashforgeのテープがぐるぐる巻きになった荷物が届きました. 開けてみると,マザーボードとスクリーンが入っていました.

マザーボードとスクリーン

まさか本当に部品単体で送られてくるとは...と驚きましたが, 部品の取りつけ方がわからないため,とりあえずメールで修理の仕方を尋ねました.
すると,以下の取り付け方法の解説動画のリンクを教えてくれました.

ちなみに経過時間ですが,初めに動作不良の連絡を入れてからここまでで約1週間です.相変わらず仕事がはやい...

交換作業

※注意
ここからの作業ではプリンタを一度分解するため,今後メーカーの保証を受けられない,部品が破損する等の可能性があります.
当記事が原因で生じたトラブル・損害について管理人は一切責任を負いかねます. 作業はすべて自己責任でお願いします.

用意するもの

  • +ドライバ No.2
  • 六角レンチ 2.5mm

スクリーンの交換について

まずスクリーンの交換を行いました.
スクリーンを交換するにはプリンタの上面・前面カバーを外す必要があります.
動画の通り,ねじを外して上面カバー→前面カバーの順に取り外していきます.
前面カバーは一部はめ合いがきつい箇所がありますが,力技で外していきます.

前面カバーの裏側にはスクリーン基板が取り付けられています.
基板にはフレキシブルケーブルも装着されているため,カバーを外した勢いで無理に引っ張ってしまわないよう注意してください.
基板からフレキシブルケーブルを外し,基板を新しいものに交換して元通り組み立てなおせば完了です.

この時点で起動確認を行いましたが,やはりスクリーンには何も映らないままでした.
どうやら不具合の原因はスクリーンではなさそうです.

マザーボードの交換について

次にマザーボードの交換を行いました.
マザーボードはプリンタ下裏面の+ネジ4本を外して,灰色のカバーを外すことでアクセスできます.

マザーボードの取り外し1 マザーボードの取り外し2

コネクタは色分けされていたりタグが付けられていたりするため配線を間違えることは少ないと思いますが, 念のため元の配線状態を写真に撮るかメモしておくことをお勧めします.
この作業も動画の通りなので特に説明することはないのですが,ひとつ書き留めておきたいこととして,小信号系統のコネクタが外しにくいです.
小信号系のコネクタは2.54 mmピッチのXHコネクタと2 mmピッチのPHコネクタから構成されているのですが, 特にカメラ用のコネクタとUSBホスト用のコネクタ(どちらもPH)は,極数が多い上に場所が隣り合っていたためかなり苦戦しました.
最終的に「断線してもコネクタ買って圧着しなおせばいいや」という気持ちで無理やり外しました.

すべて外し終えたらマザーボードの固定ネジ(六角穴付きネジ 2.5 mm)を外し,新しいマザーボードに交換して元通り配線します. コネクタの極が変形していなければスムーズに配線できると思います.

動作確認

マザーボードの交換を終え,電源を入れました.

動作確認

正常にスクリーンが動作しました.エンジニアさんの目論見通り,原因はマザーボードだったようです.

そのままでは無線が不安定であったりZ軸の位置合わせがうまくできていなかったりしたので, 前述したファームウェアアップデートを行い,キャリブレーションを行ったところ,きれいに造形できるようになりました.

さいごに

今回は,3Dプリンタに動作不良が起こったため修理した過程についてまとめました.

なにはともあれ,無事復旧できたので良かったです.これからまた充実した3Dプリンタライフを送りたいと思います.

AliExpressで3Dプリンタを買った話 -①購入編-

この記事では,AliExpressでadventurer3という3Dプリンタを購入し,初期不良に当たり修理するまでの記録を前編・後編に分けてまとめます.
前編の今回は購入までの過程について書きます.

購入のきっかけ

私は大学でものづくり系のサークルに所属しており,今年に入って3Dプリンタが導入されたのですが,次第に自宅でいつでも造形できるようにしたいという欲が高まっていました.
ちょうどそのころ消費税の増税が迫っていたため, 「どうせ買うなら増税前に買ってしまおう!」 と思い購入することにしました.

製品と購入店舗の選定

ここから3Dプリンタを選んでいくわけですが,ひと口に3Dプリンタと言っても造形方式,剛性,造形精度,対応素材など,機種によって様々です.

まず,剛性と耐温度変化性を重視するべく,組み立て式3Dプリンタは候補から除外しました.
また,「買ったけど思ったより精度が得られなかった」という事態を避けるため,なるべく今まで使ったことのある機種,もしくは造形物を見たことのある機種から選ぶことにしました.
あとはSNSでの評価や国内サポート体制の充実度を踏まえて,最終的にAdventurer3を購入することにしました.
9月中旬に日本の販売代理店から新色フィラメントが発売予定であったためそれに合わせて購入することを検討していましたが,Twiiterで気になる情報を見つけました.

AliExpressでAdventurer3が安く買える

マジ!?って思い調べてみると,確かに日本だと税抜63,000円で売られているAdventurer3が,アリエクでは約300~400 USDで売られていました.

Flashforge製品を取り扱っているセラーを調べたところ,AliExpressには「Flashforge Official Store」と「Flashforge Global Store」の2店舗があるそうです.前者は販売実績が豊富,後者は開設されたばかりのようで販売実績は少ない代わりにTop brandに認定されていました.

私が見たときはFlashforge Global Storeで30%OFFセールを開催しており, 店の評価が少ないことやトラブルが起こった時の対処などの不安要素を抱えつつ,結局はこのお店で購入することにしました.

ja.aliexpress.com

私が購入したのは「Adventurer3 + PLAフィラメント2個」のセットで税抜40,006 円でした. これに送料や消費税が加わり,最終的に以下の金額で購入できました.

  • 本体価格 :40,006 円
  • 送料(DHL):5,729 円
  • 内国消費税:1900 円
  • 立替納税手数料(税込):1080 円
    計:48,715 円

商品が到着

特に配送トラブルもなく,無事日本に到着しました.
セットのフィラメントの色はランダムで送られてきます.私の場合は「Green」と「Gray(日本でのライトグレー?)」でした. 注文から商品到着までは次のような流れでした.

  • 9/25 ...商品を注文する
  • 9/26 ...発送準備完了の通知が来る
  • 9/29 ...商品が日本に到着する
  • 10/1 ...商品受け取り

注文から6日で届きました. 受け取るまでに数週間は覚悟していたのですが,いい意味で予想を裏切ってくれました.

同梱物
プリンタの同梱物
フィラメント
セットで送られてきたフィラメント

日本で使うにあたっての注意点

日本専用の商品ではないため,付属している電源ケーブルはアース端子付きの3Pタイプです. 3P対応のコンセントや下の写真のような3P→2P変換アダプタを持っていれば問題ありませんが,ない場合は併せて調達する必要があります.自分も到着するまで気づかず,プリンタは変換アダプタを買うまでのあいだ漬物石状態でした.

変換アダプタ
アース端子変換アダプタ

火入れ式

電源ケーブルをつないでコンセントに挿し電源SWを入れると,大音量で起動音が鳴りプリンタが立ち上がります.起動音は設定で無音化することができますが,初回起動時には強制的に鳴ってしまうのでなるべく夜中の起動は避けましょう(体験談).

テストプリント

Adventurer3の凄いところは,工場出荷状態からキャリブレーションなしでプリントできるところだと思います. データさえあれば電源を入れてフィラメントを設置するだけですぐにプリントすることができます. 下の写真はプリンタに入っていたサンプルデータを印刷したものです.

サンプルデータの出力
サンプルデータを印刷したところ.めちゃめちゃきれい


以上,3DプリンタをAliで注文してから手元に届くまでのざっくりとしたまとめでした.
この数日後,動作不良により部品を交換する羽目になるのですが,それについてはまた次の記事で書きたいと思います.